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飴とブサイクからみるアイドルメディア論的なもの

昨日は舞祭組のデビューシングル「棚からぼたもち」の発売日でした。

 

一応分からない方へ説明しておくと、舞祭組(ぶさいく)とは若手ジャニーズグループKis-My-Ft2の派生ユニットで総合プロデューサー(企画作詞作曲演出)はSMAPの中居正広さんです。キスマイは7人グループですがドラマ出演やシングル曲のソロパート、バラエティでのコメントなどのほとんどを北山くん藤ヶ谷くん玉森くんの3人が任されており、残りの4人である千賀くん、二階堂くん、宮田くん、横尾くんは露出が少なく、踊りも常に後列だったり衣装も3人と4人で分けられていたりして一部のファンからは「格差売り」と揶揄されていました。ファンの中には「前の3人」「後ろの4人」という言葉を使うことに抵抗がある人もいたように感じます。この「格差売り」について明確な解説が公式にあったわけではありません。(中居さん以外の)MCの方も本人たちもこのことにあまり言及していなかったので、なおさらファンは(勝手に)感情的になっていたりいなかったりしました。感情的になっていなくても「キスマイはそういう売り方なんだな…」と思っていました。キスマイは同年代のジャニーズグループに比べてSMAPと共演する機会が多いのですが中居さんは彼らとトークするたびに「なんできみたち(4人)は衣装違うの?」とか「いつになったら前で踊れるの?」と言っていました。それだけで割と中居さんは「格差売り」に(勝手に)悶悶とするファンになんらかのインパクトを毎度与えていたと思います。2013年10月6日放送の「キスマイBUSAIKU!?」というキスマイの冠番組に中居さんがどっきりでゲスト出演したのですが、その回の終盤で「お前ら歌いたくないの?」「歌いたいですよ」「じゃあさ、4人でシングルとか出しちゃえばいいじゃん」「出そうと思って簡単にできることじゃないですし…」「大丈夫だよ。俺作ってやっから」「…!?」「4人の歌を、俺が作ってやる」「えーーーーーーーーーーーーー!!!」と、いうことで「後ろの4人」によるユニット「ぶさいく」(この時まだ表記方法?は未発表)のデビュー決定が発表されました。発表はこの放送が初めてだったのでファンもこのタイミングで知り、驚きました。今まで「もっとパートちょうだいよ!」と(勝手に)求めていたファンもまさか4人でシングルを出すなんて…!話が!でかい!と感じたと思います。そしてその約一か月後の11月11日、中居さんが司会を務める「Sound Room」という新番組に初回ゲストとして舞祭組が登場し、デビュー曲「棚からぼたもち」を初披露しました。「後ろの4人が」「SMAP中居正広によって」プロデュースされた新曲が「初披露」ということで放送前から話題になっていましたがその曲のインパクトはすさまじくTwitter上では大変盛り上がりました。どうすさまじかったのかというとボケず笑わず必死に歌う4人の姿、ジャニーズらしいかっこいいダンスと演出、4人の立場を絶妙に表現した歌詞、そしてなによりキャッチーなメロディと参加したくなるC&R(合いの手)はジャニーズファンの心をがっちりとわしづかみしました。SMAPファンの私はさすが中居正広だと感嘆しました(何様)。中居さんのつくる曲や演出にハズレは絶対にありません。ジャニオタの価値観や嗜好にぴったりハマるものを提供してくれます。特にC&Rの入れ方は最高で、コーラスに女性の声も入っていたのでわたしたちファンが一緒に叫んでいる様子を一度聞いただけでありありと想像できました。そんな話題性と完成度の高い楽曲でしたので、キスマイファン中居さんファン以外の多くのジャニーズファンも初披露時の映像を見たと思われます。それから5日後の11月16日、東京ドームで行われたキスマイのコンサートでファンの前で披露されました。実はこのコンサートには中居さんもバックのジュニアと一緒に出演しており、その様子はこれからどこかの番組で放送されるようです。私はこのコンサートに行っていないのですが、舞祭組の棚からぼたもちは他の7人で出しているキスマイ曲以上に盛り上がったそうです。中居さんはその日の様子を後日ラジオで「深夜にテレビで一回しか放送していなかったので盛り上がるか不安だったけどめちゃくちゃ盛り上がってよかった。みんなC&Rも完璧だった(ニュアンス)」と言っていました。その後棚からぼたもちはテレビで数回披露され、昨日CDが発売されました。*1

 

結成決定からCD発売までのこの二か月間、Twitter上ではキスマイとSMAP(中居さん)ファンを中心に舞祭組は何度もとても話題になりました。話題になる、といっても賛否両論的な感じではなく「舞祭組ってwwww」「うけるwww」って感じです(どんな感じだ)。この様子を見ていて感じたことを書こうと思います。(やっと本題…)

 

舞祭組プロジェクトを通してずっと感じていたことは「テレビというメディアの影響力の強さ」です。今日、インターネットが普及し「テレビを見ると馬鹿になる」「テレビの時代は終わった」という意見や「テレビ見ないアピール」をよく目にします。20年前までと今ではテレビのあり方は大きく変化したことは確かですし、私も今のテレビは昔より絶対に面白い!と言い切ることはできませんが、それでもテレビというメディアの影響力は今でも十分強いのだな、と感じました。今回、舞祭組プロジェクトは全てテレビ中心で展開されました。結成決定発表も、新曲初披露も情報解禁は常にテレビでした。東京ドーム初日で中居さんがバックで踊っていたと述べましたがその様子はファンのレポで広まりました。キスマイメンバーから当日「中居さんが来てます!」とアナウンスは無かったようです。翌月曜日のワイドショーでは取り上げられたようですが、より詳しい様子は恐らく後日何かの番組で放送されるでしょう。

テレビとは、予定調和です。コンサート現場やインターネットと違い尺や枠が決まっている為「予め用意されたもの」が届けられます。故にリアリティや作り手の裏側を見られませんがその分制作者と視聴者の間に完全な線引きがなされ視聴者は変な憶測をせず100%与えられたコンテンツを享受することが強いられます。制作者は視聴者を信頼させる必要性が生まれます。今までファンは(勝手に)「格差売り」に対して感情的…つまりあまり信頼していなかったと言えなくもないと思うのですが、今回そんなデリケートな問題を中居さんはテレビ的予定調和で扱えるネタに昇華しました。放っておいたらネガティブな問題なのに「テレビ的予定調和で扱えるネタ」に昇華した事例に明石家さんまさんが話す大竹しのぶさんとの離婚ネタや中居さんの音痴ネタなどがあります。テレビの人は課題でもなんでも予定調和の中に埋め込むネタにするのが上手いです。今の時代、「100%制作者を信頼すること=バカ」みたいな風潮があるように感じます。今回のプロジェクト以前のファンも事務所の売り方に懐疑的でした。しかしわたしたちはどう頑張ったって「受け手」です。これは個人的な意見ですが、何か問題が起きる前に文句を言ったりするのではなくまず何か違和感を覚えたら「これは作り手が蒔いた伏線なのだろうか」と疑うべきだと思いました。今回も、結果論だとしても後ろの4人でユニットを組むことになったので「格差売りは伏線だった」と言えなくもありません。格差売りに嘆くよりも「この先どんなどんでん返しがあるのだろう」と考えた方が絶対楽しいと思います。私たちは常にコンテンツをただ享受することしか出来ない消費者です。今回のプロジェクトで、中居さん(とそのまわりの大人)はテレビというメディアの中で「格差売り」をネタにし、後ろの4人をブランディングすることに成功しました。

舞祭組がテレビ発祥のグループだとすると、AKB48ももクロはインターネットを中心に人気を得、ヒットしました。先にも述べましたがテレビ発祥の企画は「予め仕組まれたヒット」です。対してインターネット発祥の企画やグループはファンの反応の影響力が強くなり純粋に作り手の意図だけでヒットが生まれているわけではないように思います。加えて枠の制限が無いので膨大な供給量から受け手が好みに合わせてコンテンツを選択することが可能です。インターネットで人気を博したのAKBのメンバーも、女優になりたいです!とかMステや紅白歌合戦に出たいです!と言っているのでテレビ活動を目標にしていることが多いです(よね…?)世間的にもテレビの露出量が多いと「売れた」と認識されます。しかし私はAKB(ネット発祥のグループ)はテレビで使いにくい、と感じます。なぜなら彼女たちはネットですでに十分人気になってからテレビに出演することになりますがテレビは枠が決まっていますし、コンテンツを興味が薄い人にも届けることになります。そのためファン界隈での常識は関係なく扱われ、予定調和にはめ込まれるので「ネットで見ていた彼女たち」とは乖離することがほとんどです。そんなことは承知のファンも沢山いるでしょうが、情報量の差に物足りなさを感じやすいひともいると思います。扱う側も大変だし、テレビの露出をきっかけに新たなファンを引き込めるかもしれませんがテレビを主な活動の場にしたり長くテレビで使われるのは難しいのかな、と思います。テレビ内の予定調和では作り手が受け手に「ここで笑ってください」「ここで湧いて下さい」という目印を明確に示しています。舞祭組はテレビの中で生まれたので彼らにあまり興味のない人にもわかりやすく湧きやすいグループになりました。*2

中居さんプロデュース、舞祭組の「ブランディング」「客も一緒にライブで盛り上がれる曲」「キスマイファン以外にも広まる話題性」という要素からわたしは「このプロジェクトと全く同じことを一人でやってのけたひとを知ってるわ…」と気づきました。中島健人さんa.k.a.ラブホリ先輩です。中島健人さんは「僕はラブホリック、ラブホリなんだ」と迷言を残し、王子様のような甘くてトンチキな印象的な言葉をファンに投げかけることで有名なアイドルで、そのキャッチーさから「JMKラブホリ王子様」という冠番組まで持っていました。そんな健人さんの最新ソロ曲は「CANDY~Can U be my BABY~」というタイトルで健人さん作詞なのですがこれが中居さん並みの(セルフ)プロデュース力を感じられる楽曲なんです。歌詞はなんというかタイトル通りで甘くて「I'm love holic☆」とか言っちゃう感じなんですけどなんといってもサビで健人さんが「CAAAANDY♪」と歌ったらファンは「LOVE(らぶ)KENTY!」と叫ばされるんです。すごい楽しいし、健人さんのイメージにぴったりだし、若いジャニーズがこういう曲を作ることはあまりないので大変話題になりました。セクゾンファンでなくても知っている人は多いと思います。健人さん曰くこの曲はSMAPの木村拓哉さんのソロ「LA LOVESONG」にインスパイアされ会場がひとつになるような曲を作りたい!という思いのもと作られたそうです。分かりやすい盛り上がりポイントを明確に提示し湧かせよう、と思った健人さんのエンターテイメント脳はSMAP並みです(何様)。兎に角、中居さんがやったことを19歳の中島健人さんが一人でやってのけたってすごいことだなーと思います。こういった要素から舞祭組の「棚からぼたもち」と中島健人の「CANDY」は大変似た楽曲だと考えますがそれでも!影響力と話題性という観点からみると前者のほうがインパクトが大きいです。その違いはメディア(テレビ)の使い方です。先にも述べた通り、舞祭組の情報解禁の場は常にテレビでした。テレビであれば誰でも気軽にチェックできます。ユニット結成決定や曲の初披露の際にはキスマイのコンサートに行くようなコアなファンだけでなく沢山のひとが「同時に」その様子を目撃し、インターネットでつぶやき、拡散され、それによってさらに多くの人がその事実を知りました。*3中居さんは「深夜にたった一回だけの放送」と言っていましたがわたしたちにはその一回で十分で、その放送で予習ができたキスマイファンは5日後のドームコンサートで多いに盛り上がることが出来たのです。テレビでの初披露を見ていたら、ドームに足を運んでいない人間も「棚ぼた超盛り上がった!」というレポや中居さんのラジオでの発言で容易に現場の様子を想像することが出来ました。舞祭組結成が番組で発表されたとき、「時期的に曲のお披露目は東京ドームかな?」という意見を沢山みかけました。もし、本当に初披露がテレビではなくコンサート会場だったらどうなっていたでしょう。簡単に盛り上がれる曲ではありますが、予習が出来ていないので団結力は弱かっただろうし、その場に居合わせた6万人しか曲の衝撃を味わえないのです。ドームに居合わせた人はそのよさを伝えようとしますが、言葉では限りがあります。キスマイファン以外はその熱量をいまいち想像することができません。テレビを情報解禁の場にすることで非キスマイファンを巻き込み、キスマイファンをより団結させることが出来たのです。一方で中島健人さんの「CANDY」ですが、初披露はコンサート現場でした。とんでもなくキャッチーでポップで衝撃的な曲だったので、披露されたコンサートの終演後、「やwwwwwばwwwwいwwwww」「まじ健人さん天才!」「CANDY超たのしかったー」という感想をいくつもTwitter上で目にしましたが、コンサートに参加するまでその楽しさを実感できませんでした。参加したらもちろん楽しかったのですが、「全セクゾンファンが」「いっぺんに」衝撃をうける、湧く、ということは出来ていなかったように思います。「CANDY」がテレビで公開されたのはコンサート現場で初披露されてから一か月半後くらいだったと思います。テレビ放送で非セクゾンファンも実態を把握できたのですがその頃にはもうコンサートに足を運ぶようなセクゾンファンはもう知っていたので初披露ときのような衝撃はありません。このように、楽曲としての質が同等でも、メディアの使い方でインパクトの与え方は大きく変わるのだなと実感しました。テレビの力は、強いです。舞祭組はインターネットやコンサート現場ではなく、テレビありきのプロジェクトであったからこそ、これだけ話題を生んだのだと感じます。

今回の総合プロデューサーである中居さんは芸能活動に関するインタビューで自分はテレビ局の人に育てられた、とよく言っています。事務所の人ではなく。時代背景もありますが、SMAPは間違いなく「テレビ向きジャニーズ」として今日まで活動してきました。「アイドルがバラエティにでるなんて…」と言われていた時代にSMAPは笑っていいともにレギュラー出演し、冠番組でコントをし、テレビでのアイドルとしてのあり方を切り開いてきました。そんなSMAP中居正広さんが若手ジャニーズのプロデュースを手掛けたのってなんかすごく「テレビ」を教えている感じがしてアツい。中居さんはファンの子が予想以上に盛り上がってくれた、みたいなことを言っていました。中居さんがヒットさせよう普及させようと意図しそれに必要だと思った動きはキスマイの今の規模には十分過ぎだったと思います。しかし、それはキスマイ及びジャニーズファンの感覚であって中居さんが狙ってるのは更に大きな範囲なのかもしれない…とも思いました。テレビしかなかった時代の「ヒット」って今のそれと違いますもんね。

舞祭組を見ると「ヒットメーカー」という言葉が脳内に浮かびます。「テレビの時代は終わった」と揶揄されて久しく、メディア…というかテレビで何かが話題になったりヒットするとネットでは「ゴリ推し」「広告代理店の陰謀?」とか言われますがそんなの当たり前です。ヒットは人が作ります。消費者の私たちはそれをわかった上で波に乗るかどうかって問題なだけです。*4

 

わたしはテレビ、大好きです。

*1:わたしはキスマイファンではないので嘘書いていたらごめんなさい…教えて下さい…

*2:ちなみに紙媒体やラジオなどを除くと女子ドルは現場、ネット、テレビが大きな露出の場なのに対しジャニーズは現場かテレビしかありません。そのため、自然とテレビ用タレントになっていく気がします。

*3:ちゃんと調べたわけではないので体感ですが…勉強します…

*4:ヒットをつくれる人って本当にすごいと思います。